2018年5月8日火曜日

恵美須町のゲストハウス

浜松で途中下車、ガン・サバイバーの山口雅子さんと会い、1時間ほどガンについて話し合った。やはり経験者の話には迫力がある。説得力も十分だ。彼女は乳ガンと肺ガンを体験した。何しろガンに詳しい。いろいろガンについて相談も受けている。浜松在のジャーナリストだが、今も元気に取材をし原稿を書く。以前、NHKの番組「クローズアップ現代」に出演したことがある。

彼女と別れて浜松から新幹線で新大阪へ直行。地下鉄に乗り換え、淀屋橋で大阪自由大学の講座に顔を出した。スピーカーは元日経記者。大阪生まれ、京都大学卒の大阪通。古くからの大阪の街の成り立ちを経済と人物を絡ませて話した。

大阪は商人の町と言われるが、「学者になった金持」が理想の風土だという。う~ん、よく分らん理屈だけどなんとなく視点がユニーク。聴衆は35人ほど。盛況だった、と幹事役はニコニコ顔。

東京ではなかなか聞けないなあ。講演が終わって自由大学のボランティア幹事らと隣の喫茶店に移った。コーヒーをセルフサービスで取り寄せ、元朝日、元毎日記者らと話し合った。それぞれサムライ的人物ばかり。”自由人”という言葉がぴったりの浪花の連中だ。妙なエリート臭さが無いのが気にいった。

地下鉄堺筋線で恵美須町のゲストハウスに向かう。インターネットで予約した宿は「Funtoco Backpackers Namba」と妙ちくりんな名。フロント係兼部屋への案内係兼経営者は西沢翔太郎という。「Fun(楽しさ)がいっぱいのバックパッカーたちの宿」という意味だそうだ。

1泊2,000円に魅せられた。西沢は29歳、夫婦で経営している。客の9割が外国人。ぼくが話したのはオーストラリア人とドイツ人。言葉は英語。西沢も英語が上手い。近畿大学卒だそうだ。今夜の日本人客はぼくともう一人の若い女性、二人だけだった。

元々、町工場をゲストハウスに改装した。新しいから内部は奇麗。泊まれるベッドは全部で25人分、月平均7割の利用率だという。1ベッド2,000円だから一晩の売り上げは平均35,000円から4万円ほど。月額100~120万円の売り上げになる。初期投資分や減価償却を差し引いても若い夫婦の収入としては決して悪くないと目算した。

大阪だけでこのような外人目当てのゲストハウスが100軒を超えるそうだ。京都はもっと多いという。部屋の掃除とシーツの洗濯、フロントの受付すべて西沢本人がやる。ベッドは上下二段の蚕棚、トイレ、シャワーは共通、宿泊者が自由に使えるキッチンもある。大部屋の居間にテレビはない。

全館禁煙。フロントの後の壁に洋酒が並んでいる。客が利用できる簡易バーというのには笑えた。外国人のバックパッカーたちはこうしたゲストハウスを拠点に1~2週間滞在して京都や高野山や大阪を観光して歩く。

近年、このようなゲストハウスが大阪、京都をはじめ列島中に続々、誕生している。部屋代も安いが経費も掛からない。インターネット時代の特質を考えた若者のニュー・ビジネスと言えるかも。

日本は初めての訪問、という髭面のドイツ人と話したが、「いい国だねえ、ニッポン」といった表情。日本はぼくらの青春時代と比較できないほどすっかり変ってしまったね。貧しさの質が違う。ぼくが馬齢を重ね後期高齢者になるはずだ。

明日は7時起で早朝から病院。検査と点滴。主治医の診察がある。こうした日々がいつまで続くのか。ガン発見から5か月を迎える。多くを学び、抗ガン剤の副作用に十分苦しんだ。

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